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【予算承認と計画に役立つ】リスティング広告の目標をシミュレーションする、3つの方法

Posted by デジマール執筆部 on 2018/10/22
リスティング広告(Google広告、Yahoo!プロモーション広告)は手軽に開始できるので、まずやってみるというのは大切です。
ただしビジネスですから、予算の承認は必要でしょう。またやり始めて成果があまりにも出なければすぐに打ち切り、という残念なことにもなりかねません。

そこでこの記事では、リスティング広告を始めるにあたってのシミュレーション方法について、もっとも重要なCPA(1コンバージョンの獲得単価)の観点を中心に解説していきます。

1 オーソドックスなシミュレーション
2 実際のCPA算出
3 ケーススタディ
 3.1 EC
 3.2 BtoB
 3.3 店舗、その他
4 ディスプレイ広告を使う
5 CPA以外のシミュレーションも必要
6 まとめ

1 オーソドックスなシミュレーション

まずは、もっとも基本的なCPAのシミュレーション方法を紹介します。
売上から必要経費と確保したい利益を引いた残り金額を、広告費にあてるやり方です。
これはインターネットの運用型広告だけでなく、紙や電波といった既存メディアでも多く使われてきました。

例)
売上金額:10,000円
経費(原価、人件費など):6,000円
利益:2,000円

この条件の場合、下記の計算式が成り立ちます。
10,000円(商品金額)-6,000円(経費)-2,000円(利益)=2,000円(広告費)

キーワードプランナー
広告費の2,000円が、CPAになります。
これをリスティング広告の実際の運用にあてはめてみると、仮に平均CPC(クリック単価)が100円なら、20クリックで1コンバージョンを獲得する必要があります。
CPCが200円なら、10クリックで1コンバージョンを獲得しなければなりません。
20クリックまたは10クリックで1コンバージョンを獲得する場合のCVR(コンバージョン率)は、それぞれ5%、10%です。一般的にリスティング広告のCVRは1%前後と言われますから、どちらもかなり高い数値なのがわかります。もしCPCが20円だとすると、CVRは1%でやっと現実的になります。

リスティング広告はクリックごとに課金されていきますから、予算を考えるうえでCPCが非常に重要なのがわかります。ただしキーワードはオークション制ですから、それぞれ入札価格の目安があらかじめ出ています。
CPCの目安を調べるためのツールが、各リスティング広告の管理画面には用意されています。

Google広告は「キーワードプランナー」、Yahoo!プロモーション広告は「キーワードアドバイスツール」という名称です。
それぞれのツールに広告出稿で使いたいキーワードを入力すると、過去データにもとづくCPCの予測値が推奨入札単価(Yahoo!プロモーション広告は推定CPC)という形で出てきます。
先ほどの例では任意でCPCを入れてみましたが、実際にはこれらのツールで出た予測値で、算出したCPAを獲得するためのクリック数と予算を出していきます。

キーワードプランナー
キーワードプランナーでは語句以外に、LPのURLなどからもキーワードの抽出ができます。

キーワードプランナー
関連語も表示され、それぞれのCPCの目安が分かります。

2 実際のCPA算出

前項の売上金額をもとにした方法は非常に分かりやすいのですが、実際のリスティング広告のシミュレーションではそれほど多く使われません。
なぜならこの方法は、ユーザーに対して常に広告費を発生させる前提だからです。
これだとコンバージョンが発生するたびに永久に広告費を払い続けなければならないので、とても効率がいいとはいえません。

そこで取り入れたいのが、「LTV」という考え方です。
LTVとは顧客生涯価値(Life Time Value)の略語ですが、具体的な意味は「そのユーザーが一生涯にどれだけの利益をもたらしてくれるか」です。
この方法はECでよく用いられるシミュレーション方法です。

もう一つのシミュレーション方法は、コンバージョンが直接の売上ではないBtoBのリード獲得の際によく使われる方法です。
具体的には資料請求、問合せ、セミナー申込みなどを指します。
BtoBのサイトではコンバージョンが仮に10件取れても、売上に結びつくのは1件程度ということがよく起こります。ですから利益をもとにCPAを算出するという方法が取れず、リードから契約に結びつく割合をもとに計算していきます。

なお便宜上ECとBtoBに大きく分けますが、リスティング広告はリアル店舗への送客、アプリのダウンロードがコンバージョンになっている場合もあります。ですからこれらに対するシミュレーションをおこなうことも多々あります。

3 ケーススタディ

前章で紹介した実際のシミュレーションの際に用いられる「ECに多く見られる、LTVをもとにした算出パターン」、「BtoBに多く見られる、リードからの契約数をもとにした算出パターン」について具体的に解説していきましょう。

3.1 EC

ECは、いかに新規ユーザーを「顧客化」「リピーター化」するかがポイントになります。
ただし一度購入したユーザーに対する施策はWebサイトやCRMの役割なので、ここでは触れません。リスティング広告は、主に新規ユーザーを獲得する手段になります。
ですから最初に紹介した、「売上をもとにした算出パターン」にあてはめてCPAを見積もるとうまくいきません。
たとえば、次のようなケースです。

例)
3,000円(売上)-2,000円(経費)-800円(利益)=200円(広告費)

広告費が200円と出たのでこれがCPAになりますが、この金額が現実的でないのはわかるでしょう。
ECの場合は、単純に初回の売上金額をもとにCPAを決めることはできないのです。
そこで、LTVをもとにシミュレーションをします。
顧客の一生で算出するのは長すぎて不確定要素も多く出ますので、1年間で考えてみましょう。

例)
20,000円(一年間の1ユーザーの売上金額)-12,000円(経費)-5,000円(利益)=3,000円(広告費)

CPAは3,000円なので、大きくアップしました。
このようにECは一度だけの購入で得られる利益ではなく、獲得したユーザーがその後どれだけ継続して利益をもたらしてくれるかをもとにCPAを算出します。
ただし実際にはすべてのユーザーがリピーターになってくれるわけではありません。
2~3割がリピーター化すると考えて、算出した広告費にこの割合をかける必要があります。ですから上の例では、600~900円のCPAを設定してみるといいでしょう。
そのECサイトが通常どれくらいの割合でリピーター化できているかをもとにすると、精度が上がります。

3.2 BtoB

BtoBのサイトは、多くの場合「問合せ」「資料請求」といったリード獲得がコンバージョンに設定されているはずです。
獲得できたリードがすべて契約をしてくれるわけではありませんし、営業さえできないものも多くあります。

BtoBの場合は、獲得したリードが「どれくらい最終の契約に結びつくか」「平均してどれくらいの金額で契約するか」をもとに、CPAを算出します。

例)
契約金額:200,000円
リードからの契約割合:10%

契約割合が10%なので、一つの契約を獲得するためには、10件のコンバージョンが必要です。経費や利益を仮で入れて、計算してみましょう。

200,000(契約金額)-100,000(経費)-50,000(利益)=50,000×10%(広告費)

結果として、CPAは5,000円になりました。
なお現場から「Webからの問合せは電話問合せに比べて成約しにくい」といった声が聞かれることがあります。
仮にそのビジネス全体の成約率が10%だとしても、現場の感触を確認して「Webからの問合せは6%の成約率」にするなど、現実に近い形で調整することが大切です。

3.3 店舗、その他

店舗集客はLTVとリードから契約のパターンを、ビジネスの性格により使い分ける必要があります。なおここでいう店舗とは、幅広い意味でのリアルビジネス全般を指すと考えてください。

たとえば1回ごとに金額を支払うエステやマッサージ店の場合は、LTVパターンでCPAを出してみるといいでしょう。
リスティング広告で獲得したユーザーが、それから何回その店舗を利用するかで考えていきます。

リード獲得パターンは、不動産会社のように問合せや資料請求でコンバージョン設定をしている場合に有効です。
資料請求をしたユーザーのすべてがマンション購入をするわけではないので、リードに実際の購入割合を加味して算出します。

ちなみに不動産のCPAを試算してみると、数万円になる場合がざらにあります。
豊富に広告費が使えるように思えますが、実際にはそうでもありません。
たとえば「新築マンション 東京」とキーワードプランナーで推奨入札単価を調べてみると、627円になります。
リスティング広告は入札単価より低い金額が実際のCPCになりますが、それでも1クリック600円近い金額になるはずです。
また関連性が高いキーワードの一つ、「マンション購入」も624円です。



仮に平均CPCを600円としてCVRを1%とすると、一つのコンバージョンを獲得するために必要な100クリックを稼ぐのに60,000円がかかります。
リスティング広告はキーワードのCPCが大きく広告費に影響するのが改めてわかるでしょう。

これ以外にもリスティング広告では、ネイティブアプリのダウンロード獲得をコンバージョンにした掲載もあります。
ネイティブアプリの場合は、その目的によりECパターン、BtoBパターンのどちらかを選びます。

4 ディスプレイ広告を使う

リスティング広告は、検索画面に表示されるものだけではありません。
最近はディスプレイ広告のニーズが非常に高まっています。

Google広告の「GDN」、Yahoo!プロモーション広告の「YDN」は、Yahoo!ニュースなど自サービスや提携するWebサイト、アプリ上に広告を表示する仕組みです。
ディスプレイ広告の大きな特徴が、「ターゲティング」です。
先ほど紹介した不動産ジャンルのCPCのように、リスティング広告で入札する多くのキーワードは高い値段になっています。
そのため以前のように、安価でコンバージョンを獲得するのが難しい状態です。
そこでターゲティングを細かく設定して効率良くコンバージョンが獲得できる、ディスプレイ広告の利用が高まっているのです。

ディスプレイ広告のターゲティングをシミュレーション面で補助するツールが、Google広告の「ディスプレイ キャンペーン プランナー」です。
関連するキーワードやLPのURLを入力することで、各ターゲティングの平均クリック単価を算出できます。


ディスプレイキャンペーンプランナー
ディスプレイ広告のCPAを具体的に算出する場合には、「売上をもとにする」「LTVをもとにする」、「リードからの契約数をもとにする」のいずれかにあてはめてみるといいでしょう。
ただしターゲティングが適正かどうかでCTR(クリック率)、CVRが大きく違ってきますので、そこには注意が必要です。

5 CPA以外のシミュレーションも必要

ここまでCPAの試算方法を中心に解説してきました。
最後に他の指標も組み合わせて、実際の運用にのせる際のシミュレーションも少し紹介しておきましょう。

先ほどまで便宜上CVRを1%としていましたが、実際にはこれが高くなったり低くなったりします。
それは商材やビジネスの内容によって異なりますし、Webページの設計や広告のクリエイティブも大きく関係します。ディスプレイ広告がターゲティングの精度で大きく変わってくるのは、先ほど触れたとおりです。

このためシミュレーションでは、CVRを変えて複数パターン作ってみます。
広告予算が既に決まっていると仮定して、次のような例で考えてみましょう。

例)
平均CPC:50円
広告予算:1,000,000円


クリック数 CVR コンバージョン数 CPA
20,000 0.5% 100 10,000
20,000 1.0% 200 5,000
20,000 1.5% 300 3,333
20,000 2.0% 400 2,500

仮にCPAの目標がシミュレーションで3,500円と出ていたとすると、CVRは1.5%以上ないと達成できません。
この場合はLPやコンバージョンポイントを最適化して、1.5%以上のCVRが取れるようにすることが必須になります。
広告クリエイティブを工夫してCTRや広告の関連性を高め、平均CPCを想定より抑えるといったこともやるべきです。

このようにリスティング広告のシミュレーションでは、CPAを試算した後に実際にその目標値が取れるか、どこを最適化すれば達成できるかまで含めて算出する必要があります。

6 まとめ

この記事で紹介したポイントについて、まとめましょう。

〇リスティング広告のシミュレーションはオフラインの広告でもよく見られる、「売上をもとにした算出パターン」がまず考えられる。しかし実際にはこの方法は、あまり用いられない。
〇現実に即してシミュレーションをする場合、「ECに多く見られる、LTVをもとにした算出パターン」、「BtoBに多く見られる、リードからの契約数をもとにした算出パターン」がある。
店舗などリアルビジネス、アプリのダウンロードに対しても、これらの算出方法は使える。
〇CPAだけでなく、CVRを変えて複数パターンのシミュレーションをすることで、実際の運用イメージに近づいていく。

CPAの算出の仕方はこの記事で紹介した以外に、「ROAS(広告費用対効果)を用いた算出」「クリック単価をコンバージョン単価で割る計算式を適用する(CPC÷CVR)」といった方法もあります。

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リスティング広告を実際の運用にのせると、シミュレーション通りにはいかないことがほとんどです。
シミュレーションで出した数値を基本形として、日々運用をしながら改善していくことが大切です。
逆に早い時期から想定を大きく下回るCPAでコンバージョンが獲得できていたとすれば、CPAの算出が甘かったということです。
この場合は実際の運用データをもとに、シミュレーションで算出していた値を調整していきましょう。



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Topics: Google, リスティング広告(検索), デジタルマーケティング